表紙で買った本 (連載 88)


   友人のとも吉さんは本が大好き。長い外国生活の

あいだに出会った たくさんの本の中から

ポツリ ポツリと 気の向くままに

選んでもらって ご紹介致します。




88


SUITE FRANCAIS

Irene Nemirovsky


第二次世界大戦中のフランス。

デニースとエリザベスは、フランス人でありなが

らユダヤ人の血が入っているので、逃亡の生活

を余儀なくされた。ナチスを逃れるためである。

ほとんどのユダヤ人が殺害されたが ( この二

人の母親も ) 二人は見ず知らずの人々の

親切の繋がりで生き延びた。
 

戦後、母の思い出の品、と持っていた皮の表紙の

ノートに何度か眼をやろうとするが、とても開けて

読む気にならず、何十年も放って置かれた。

けれどある日、日記だとばかり思い込んでいたその

母のノートが実は小説だった事が判明する。

ミネロフスキーの最後の小説はこうして日の目を

みる事となる。その死後60年。








IRENE NEMIROVSKY

SUITE FRANCAIS
( C ) / 20006/ VINTAGE