表紙で買った本 (連載 70)


   友人のとも吉さんは本が大好き。長い外国生活の

あいだに出会った たくさんの本の中から

ポツリ ポツリと 気の向くままに

選んでもらって ご紹介致します。




70


The House of Dead

FYODOR DOSTOYEVSKY


ドストエフスキーは1850年からシベリアの刑務所送りで

4年程そこで過ごす。これは、その経験をもとに書かれたと

言われている。 刑務所というと暗いイメージがあるが、

この本では随分明るく書かれている。囚人達が個性的で

読んでいるとそのやり取りが楽しい。

物があふれている現代社会において、刑務所の生活は

質素で慎ましやかにも見える。囚人にとって、自由という

のはほんとうに意味のある重い言葉だ。それは刑務

所に生活した者だけが理解できる。

自由を失ったときに人は初めてその意味を知る。

ドストエフスキーの4年間は、その自由を再確認する

ために必要な時間だった。









THE HOUSE OF DEAD

FYODOR DOSTOYEVSKY

( C ) / 1860,1985 / Penguin classics