表紙で買った本 (連載 118)


   友人のとも吉さんは本が大好き。長い外国生活の

あいだに出会った たくさんの本の中から

ポツリ ポツリと 気の向くままに

選んでもらって ご紹介致します。




118








The Beast Within

Emile Zola


ゾラの作品の中でもかなりドロドロしていて

暴力がいたるところに出てくる。

それが、あるときは脅迫であったり、またある時は

殺人に結びついたりして、ハードボイルド風に

仕上がっている。もちろんフロイト風な精神分析的な

面をかなり見せながら登場人物の内面を深く掘り

下げ、人間の本来持っている本能の部分に

メスを入れる。勿論政治もそれに加わっていく。

鉄道が発達し始めの頃 ( 1850〜1860年 ) 、

新しい犯罪が沢山起き、車内で殺されたり、また

車外に放り出されたり、また暴行事件が後を絶たな

かった。ゾラはその鉄道にスポットライトを当て、

この作品を生々しく描いた。






THE BEAST WITHIN
Emile Zola

( C ) 2007 / PENGUIN CLASSICS