友人のとも吉さんは本が大好き。長い外国生活の
あいだに出会った たくさんの本の中から
ポツリ ポツリと 気の向くままに
選んでもらって ご紹介致します。
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THE FAIRY TALES OF HERMANN HESSE
Hermann Hesse
これはヘッセが描いた、現在でいうところの
おとぎ話風の話を集めた本だ。
「 メルヒェン ( Marchen,1919 ) 」という本が以前出版されたが、
それは8話しか集められていない。
それに比べると、この本には22話集められている。けれど
これも完全版ではない ( 版権の都合により5話無収録 )。
最初の 「 こびと The Dwaef (1904) 」 から始まって
最後の 「 アイリス Iris (1918) 」 まで、
ヘッセの人生観が読み取れるが、楽しさより
悲しみの色が濃く深くなっていくのも本当だ。
この本の中で笑える話は一つも無い。
1914年には世界を巻き込んだ第一次世界大戦が始まり、
ロシアでは革命が起きる。
物質文明で溢れてだめになったヨーロッパからの
ささやかな贈り物とみると、
メルヒェン ( おとぎ話 ) は、当時のヨーロピアンには
痛くて辛い本だったに違いない。
Hermann Hesse
The Fairy tales of Hermann Hesse
( C ) / 1995/ Bantam
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