表紙で買った本 (連載 85)


   友人のとも吉さんは本が大好き。長い外国生活の

あいだに出会った たくさんの本の中から

ポツリ ポツリと 気の向くままに

選んでもらって ご紹介致します。




85


MUNICH

Telford taylor


1938年ミュンヘン ( ドイツ ) 、ここで当時の4大勢力

イギリス、フランス、ドイツ、そしてイタリアの大物たち

が顔を合わせ会議を行った。イギリスは戦争をする

のには常に反対の立場をとり、フランスは自衛をする

だけのチカラが不足で、それをイギリスに頼るが、

イギリスは自国の防衛だけで精一杯という、なんとも

恥ずかしい話がこのヨーロッパにおける第二次世界

大戦の始まりだった。

ドイツがチェコスロバキアに侵略しようとして、それを

イギリスとフランスがなんとか話し合いで解決しようとした

が、ヒットラーは、イギリス国家の内情と同じく、フランス

の内情を十分に掌握していた。

そこでまず、チェコスロバキアを、そしてポーランドを

手中に収めてゆく ( ほとんど武力を使わないで )。

イギリスとフランスはただそれを見ているだけだった。


ミュンヘンというと、物事を武力ではなく、話し合いで

答えを出す、という意味で使われるようになったのも

この会合の後からだ。けれど、それはまず、裏切るという

意味が含まれていて、けっしていい意味ではない。



telford Taylor

MUNICH
( C ) / 1980 / VINTAGE BOOKS EDITION