表紙で買った本 (連載 68)


   友人のとも吉さんは本が大好き。長い外国生活の

あいだに出会った たくさんの本の中から

ポツリ ポツリと 気の向くままに

選んでもらって ご紹介致します。




68


The Drinking Den

EMILE ZOLA


ゾラは、このパリのスラム街の小説 『 居酒屋 』 に

沢山スラングをばらまいた。それがそこで生活する

者達の日常会話だからだ。

最初の、洗濯屋での二人の女の罵り合い、

「 この クソ女 ( The doxy ) 」

「 おまえの尻が涼しくなるだろうよ ( your arse ) 」

( アメリカでは 尻を ass と書くが、訳がイギリス版なので

arse となっている )

「 あばずれ ( the bitches ) 」。

今読むと、普通にスラスラ読み進んでいくけれど、

当時 ( 1876年 ) の小説でここまで汚い言葉が次から

次と出てくると、読者も楽しんだはずだ。

ゾラはこの小説で文学界での名を不動にし、経済的にも恵まれ、

家を買う。1956年に ルネ・クレメンが映画化している。






THE DRINKING DEN

EMILE ZOLA

( C ) / 1876,2003 / PENGUIN CLASSICS