表紙で買った本 (連載 129)


   友人のとも吉さんは本が大好き。長い外国生活の

あいだに出会った たくさんの本の中から

ポツリ ポツリと 気の向くままに

選んでもらって ご紹介致します。




129


James Joyce & the Burden of Disease

KATHLEEN FERRIS


リチャード・エルマン ( Richard Ellman ) のジョイスの

評伝はまるでジェームス・ジョイスの番犬のように

ジョイスをあらゆる意味で護り続けてきた。

けれどその評伝に不満をもつ者も沢山いた。

何故ならジョイスの姿をシーツで覆ってしまって、

中身が見えないからだ。

けれど、ジョイスの友人、知人などが生きていて

彼らに沢山のインタビューを残したのも事実で、

それを元に評伝が作られたのは言うまでもない。

けれど今迄あまり注意を払ってこなかった事実が

医学の専門家の証言を元に一冊の本となって出た。

もう15年も前に」出版されたこの本は、ジョイスは

梅毒で心も体も悩んでいた、という代物だ。

それを作者キャサリン・フェリスはジョイスの初期の

作品から最後の「 フェネガング・ウェイク 」 迄調べあげ

私生活のジョイスと照らし合わせ、確信に迫る。

子ども達にも父親のその病気の影響で症状が出て

いたのに、原因不明の病気として扱っていたので

手当が遅れた。

ジョイスがノラとパリに1940年に駆け落ちしたのは、

梅毒の噂が拡がるのを恐れてだと言われている、

など、意外な意味で興味が尽きない。












JAMES JOYCE & THE BURDEN OF DISEASE

Kathleen Ferris



( C )1995/The University Press of Kentucky