表紙で買った本 (連載 bQ)


   
友人のとも吉さんは本が大好き。長い外国生活の

あいだに出会った たくさんの本の中から

ポツリ ポツリと 気の向くままに

選んでもらって ご紹介いたします。


   

bQ
        
           ROCKET BOYS


         1957年夜空にSPUTNIK(世界初の人工衛星)が
        横切るのを見て、人生の進む道を決めた。アメリカ
        ウエスト・ヴァジニアの小さな炭鉱町に住む少年の
        回想記である。

         主人公の語い口が少年らしさを十分に引き出している。
        けれど物語の本当の主人公はこの少年の母親である。
        自分の子供がロケットを作ろうとすると ”一緒に
        吹き飛ばされるんじゃないよ” といい遠くでそれを
        見て楽しんでいるかのように、そしてうまくいかなくて
        しょげているのを見ると ”もし おまえが本気になって
        やったら(一生懸命やったら)出来るんじゃないの?”
        と言って 励ます。
 
        なんとか そこから はずれないように レールの上に
        乗せようとする。炭鉱町に未来はないと見て、なんとか
        息子達を(2人)そこから出そうとする母親の作戦
        なのかもしれないが、日本にもこの波は10年後に
        炭鉱閉山という形で押しよせる。

         おもしろい表現がある。
        野外でトイレに行くのを、ディジーに水をやる
        (watering the daisies)という文で
        出てくるが日本版では只用をたすという普通の
        文になっているのが、ちょっと淋しい所であるが
        大した事ではない。

        (映画化されそれも又良い出来である)
 

ROCKET BOYS
HOMER H.HICKAM,JR

  1998 / Delacorte pressl